お知らせ

【展示情報】山口県立萩美術館・浦上記念館すぽっと展示in空港ロビーの展示替えをおこないました。(2017年11月28日)

平成29年11月28日(火)~平成30年1月28日(日)の期間に展示しております作品をご紹介します。

佐藤典克 さとう のりかつ
《縒器【よりき】》 2013年
高さ(h.)40.0×幅(w.)47.0×奥行(d.)45.0cm

磁胎【じたい】の白い器で魅力的な表現を繰り出す若い陶芸家が増えています。しかし彼らから、古名器【こめいき】に学び、東洋陶磁の古典を観想【かんそう】 するといった、理念や志向はみじんも感じられません。いまの若い世代が生み出す白磁の器は、かたちの構造そのものに向けられた芸術意欲の現実感(リアリティー)とも呼べるもので、作り手個人の純粋感覚を映し出す白い抽象形態としての器のかたちなのです。

そんな白い器の表現の先端を行くのが、佐藤典克(1974年生まれ)のこの作品です。大きく開いた口縁【こうえん】と舟形に面取りした脚部の形式、そして純白の磁胎のやわらかな肌合いをともにする〈縒〉【より】シリーズは、かれの造形思考の斬新性がよく表れています。佐藤は、ロクロの遠心力で立ち上がる構造体の厳密な対称性には美感を求めず、ロクロで挽いた筒形の器胎に磁土【じど】を肉付けしたり削ったりしながら、あたかも彫刻家が人体の均整美【きんせいび】を探るようにして、動勢(ムーブメント)と揺らぎを感じさせるかたちへと自己を結んでいるのです。
                                          ≪お問合わせ先:山口県立萩美術館・浦上記念館 TEL0838-24-2400≫