お知らせ

【展示情報】山口県立萩美術館・浦上記念館すぽっと展示in空港ロビーの展示替えをおこないました。(2017年03月27日)

平成29年3月27日(火)~5月28日(日)の期間に展示しております作品をご紹介します。

 

大和祐二 やまとゆうじ

《萩窯変掛分皿【はぎようへんかけわけざら】》 1995年

高8.7×口径53.8㎝

 

大和祐二(1946年生まれ)は、幕末維新期の名陶工として知られた大和作太郎【さくたろう】(松緑【しょうろく】、1855~1921)が1892年に山口盆地に開いた宮野焼【みやのやき】(いわゆる山口萩焼)の伝統を受け継ぐ名門家系に生まれ育ちました。松緑からすれば曾孫世代の陶芸家です。

本作は、「ざんぐり(大まかで風雅【ふうが】な趣がある)」と形容される、萩焼原土【げんど】の主土【おもつち】である大道土【だいどうつち】の物質感と、人肌の温もりを想い起こさせる柔らかな釉調【ゆうちょう】に見どころのある作品です。もちろん、精確な技術の裏打ちのもとに形態美を追求するという、松緑譲りの真摯な制作態度を守るこの作家は、口縁【こうえん】や高台【こうだい】(底部)といった細部にまでおよぶ丁寧な造形性をもって、器全体に好適な緊張感を与えることも忘れてはいません。シャープに立ち上げられた端整な器形はきわめて現代的で、この作家が「いま」という同時代的現実感を、単なる伝統美という観念のうちに埋もれさせはしないという、明快な意思を持っていることもうかがえます。

                         <お問合せ先:山口県立萩美術館・浦上記念館 TEL0838-24-2400>