お知らせ

【展示情報】山口県立萩美術館・浦上記念館すぽっと展示in空港ロビーの展示替えをおこないました。(2017年07月31日)

平成29年8月1日(火)~9月24日(日)の期間に展示しております作品をご紹介します。

鬼丸尚幸 おにまるたかゆき

《青白磁面取鉢「峰」【せいはくじめんとりはち「ほう」】》 2013年

高さ(h.)28.0×口径(md.)53.0cm

すっと伸びた土の立ち上がりが小気味好【こきみよ】い端整なかたちです。釉薬に含まれるわずかな鉄分が還元炎【かんげんえん】に反応した、やや青みのある白色の釉調が眼に優しく、高貴で穏和な印象を与えています。約千年前の中国・北宋時代後期に確立され、のちに東洋陶磁史の古典とされて「影青」【インチン】と呼ばれた、品格ある端麗優美な造形性です。

鬼丸尚幸(1974年生まれ)は、東京藝術大学大学院修了後に故郷の小石原【こいしわら】(福岡県)へ戻り、伝統の土との親和的な交感のうちに立ち上げられる形態の力強さを感得したそうです。一方で、東洋陶磁の古典美も時代精神の所産と観察して、自己の存在を現代に見つめることに目覚めたこの作家は、過去の格例を執拗に繰り返したりはせず、現代に求めるべき自己とは何かを吟味しながらかたちをつくるよう心掛けてきました。そのことは、器胎の伸びやかな稜線に、繊細さと同時に強靭さを求めるいわば禁欲的洗練の造形感覚として端的に表れています。

                       ≪お問合せ先:山口県立萩美術館・浦上記念館 TEL0838-24-2400≫