お知らせ

山口県立萩美術館・浦上記念館すぽっと展示in空港ロビーの展示替えをおこないました。(2020年05月25日)

2020年5月26日(火)~7月26日(日)の期間に展示しております作品をご紹介します。

加藤重美 かとうしげみ
《金線文陶筥【きんせんもんとうばこ】》 1986年
高さ12.9cm 幅32.5㎝ 奥行28.8㎝  

加藤重美(1935~2011)は北海道旭川市に生まれ、武蔵野美術短期大学を卒業。その後、様々な経緯を経て、1974年に山口県防府市末田に窯を築き、以後同地で作陶を行いました。「日本陶芸展」「西日本陶芸展」「茶の湯の造形展」など多くの公募展で入選・入賞しています。作風は染付・色絵などの絵付けや、素地にスタンプを押してへこんだ部分に異なった色調の装飾を施す「堆瓷【ついし】」と名付けられた技法まで幅広く、中でも金線による装飾は、加藤の代表的なものです。本作品は、白釉を象嵌した線彫りの曲線模様を器全体に施し、流動的な波のような視覚効果を得ています。それらを横断するように金線を直線に引くことで、器全体を引き締まって演出する絶妙なバランス感覚が生じます。陶筥という完成の難しい器種を採用し、さらに失敗の許されない緻密な線彫りや金線を施す、加藤の造形表現への飽くなき探求心を感じる作品です。

〔お問い合わせ先:山口県立萩美術館・浦上記念館 TEL0838-24-2400〕