平成28年3月23日(水)~4月24日(日)の期間に展示しております作品をご紹介します。
大和保男 やまとやすお
《炎彩扁壺・爽風【えんさいへんこ・そうふう】》 2010年
Yamato Yasuo, Flask, ‘Breeze’, 2010, Stoneware with salt glaze, Hagi style
高49.0×幅53.0×奥行27.0cm
大和保男(1933年生まれ)は、山口萩焼【やまぐちはぎやき】の創始者として知られる萩出身の名工大和作太郎松禄【やまとさくたろうしょうろく】(1855〜1921)の孫にあたります。家業を手伝うなかで身に付けた、轆轤【ろくろ】さばきをはじめとする高度な作陶技術のもと、茶碗から建築空間を表現する陶壁【とうへき】の制作まで、広範囲にわたって萩焼作品を制作してきた作家です。
かれは、塩水を器胎【きたい】に塗ることで得られる、柔らかな炎の痕跡を表情とする塩釉【しおぐすり】の技法をはじめ、軽快で律動感【りつどうかん】のある端正な文様を斬新な器形に配置していく独自のスタイルなど、現代的な感覚や時代の気分を直接反映させる表現で一作風を築いてきました。
この作品は、山口市出身の詩人中原中也【なかはらちゅうや】(1907〜37)へ捧【ささ】げるオマージュとして制作されました。堂々とした威容【いよう】を誇る大型器物でありながら、火照【ほて】ったような肌合いの土味【つちあじ】と飄々【ひょうひょう】とした絵付け文様に、叙情詩【じょじょうし】に謳【うた】われたナイーブな情感がみごとに表現されています。
1988年に、山口県指定無形文化財「萩焼」の保持者に認定されています。
≪お問合せ先≫山口県立萩美術館・浦上記念館 TEL 0838-24-2400