平成30年3月27日(火)~5月27日(日)の期間に展示しております作品をご紹介します。
吉賀大眉 よしかたいび
《花器「暁雲」【かき「ぎょううん」】》 1973年 HUM / K289
高さ40.0㎝×最大径39.0㎝
吉賀大眉(本名寿男【ひさお】。1915~1991。)は、江戸後期からの萩の小畑焼【おばたやき】窯元、泉流山【せんりゅうざん】窯の吉賀大雅堂【よしかたいがどう】経営者である要作【ようさく】の長男として生まれ育ちました。家業を継ぎつつ、京都の商工省陶磁器試験所に入所し、陶彫家沼田一雅【ぬまたいちが】(1873~1954)に師事。1933年東京美術学校彫刻科に進み彫刻を学びます。1940年に陶芸に転じ、陶芸家加藤土師萌【かとうはじめ】(1900~1968)に師事。萩では早くから美術学校出身者として先駆的な作家活動を行い、戦前は新文展【しんぶんてん】、戦後は一貫して日展【にってん】で活躍します。1960年日展審査員、1962年現代工芸美術家協会中国会長に就任し、1982年には日本芸術院会員、1990年には文化功労者にも選ばれました。
この作品は、1965年にエジプトのアラバスタ―(雪花石膏【せっかせっこう】)の白い壺に魅せられたことから生まれた大眉の代表的な連作「暁雲シリーズ」の一作です。胴の豊かに張った造形と、白萩釉【しらはぎゆう】に鉄刷毛【てつはけ】、さらにほのかな赤紫色の窯変【ようへん】があらわれた微妙な諧調【かいちょう】が混然となって、あけぼのの雲が漂う清々しい情趣【じょうしゅ】を醸【かも】し出しています。
[お問合わせ先:山口県立萩美術館・浦上記念館 TEL0838-24-2400]