2020年1月28日(火)~3月22日(日)の期間に展示しております作品をご紹介します。
三輪 龍氣生 (十二代休雪 ) みわ りゅうきしょう(じゅうにだいきゅうせつ)
《花器【かき】 瑞鳥【ずいちょう】》1998年
高さ36.0㎝ 幅30.8㎝ 奥行17.1㎝
三輪龍氣生(十二代休雪・本名龍作【りゅうさく】)は、江戸前期の寛文【かんぶん】3年(1663)から萩藩【はぎはん】の御用窯【ごようがま】を務めた名門陶家の当主ながら、作家デビュー以来一貫して「エロス(愛)」を主題に人間存在の重さを陶造形で問い続けている表現者です。萩焼400年の歴史を踏まえつつもその作陶環境に縛られることなく、これまでは器という形式から離れて象【かたど】られることがまれであったやきものの領域で、彫刻的具象表現を中心に自己を「かたち」にしてきました。その表現性には、現代の造形活動を見渡してみても、特異な個性の発露と呼べるほどの衝迫力【しょうはくりょく】があります。
これは、中華世界で古来めでたい鳥とされる鳳凰【ほうおう】をモチーフにした、〈瑞鳥〉シリーズの一つ。胴部中央に開けた口に花を挿すことができるので花器ともよべますが、このユニークなかたちで作者が問いかけるのは、やはりエロスとしての幸福の意味です。鋭く敏速な瑞鳥の様態に、万古不易【ばんこふえき】ならぬ幸福を待ち焦がれる人の生のはかなさが暗示されています。
[お問合わせ先:山口県立萩美術館・浦上記念館 TEL0838‐24‐2400]