2023年9月26日(火)~11月26日(日)の期間に展示しております作品をご紹介します。
吉賀大眉 よしかたいび
《麦文壺【むぎもんつぼ】》 1946年
高さ 27.2㎝ 最大径 33.0㎝
吉賀大眉(1915~1991)は幕末より続く窯元の泉流山【せんりゅうざん】窯(現在の山口県萩【はぎ】市)の経営を引き継いだ吉賀家に生まれ、京都の国立陶磁器試験所、東京美術学校でやきものや彫刻について学びました。後に萩に帰郷し、昭和21年(1946年)に日展に入選してからは日展で活動を続け、複数回にわたって受賞するなど評価を高めました。昭和40年代からは、アラバスター(雪花石膏【せっかせっこう】)に影響を受け、白、緑、赤などの窯変を巧みに表現した「暁雲【ぎょううん】」シリーズと呼ばれる連作を作り、後年の代表作となっています。
本作品は、昭和21年(1946年)の第2回日展に出品された作品で、端正に造形された壺の素地に白釉をかけ、壺の全周を一本に伸びる麦穂が描かれています。いまだ江戸時代からの茶陶が根強かった萩焼の中で、これまでの伝統から逸脱する大型の立体作品を大眉はこの頃すでに作り出していました。過不足の無い造形と絵付けは大眉の以降にも続く、彼の作陶の発端ともいうべき作品です。
〔お問い合わせ先:山口県立萩美術館・浦上記念館 TEL0838-24-2400〕