平成28年(2016)1月26日(火)~2月21日(日)の期間に展示しております作品をご紹介します。
石橋裕史 いしばしゆうし
≪彩刻磁鉢【さいこくじばち】≫ 2007年
高21.5×口径48.5cm
伝統的な陶芸制作の現場では、焼成後の器物に加飾【かしょく】を施すことはタブーとされてきました。それは、産業的作陶意識のなかで長年培われた、焼成工程こそが制作の最終段階だとする慣習、いわばある種の極め付けでもありました。
京都を拠点に制作活動を展開する、石橋裕史(1957年生まれ、本名裕【ひろし】)は、本焼後の器面【きめん】に微粉粒子【びふんりゅうし】を投射して研磨を施すという、サンドブラストの技法で釉面【ゆうめん】に物理的なグラデーションをつくる斬新な手法で作品制作をしている作家です。
窯業的な生産秩序にあえて逆らったような加飾法ですが、新たな伝統を創出しようと志す作り手にとって、これは技術革新の現状を陶芸制作に取り込むという大きな意味を持っていました。石橋は、この手法で生じた釉薬と素地【きじ】、それぞれの質感の変化を露【あら】わにすることによって、陶芸表現の可能性を提示して見せたのです。その斬新性もあって、2015年には京都府指定無形文化財「陶芸」の保持者に認定されています。
≪お問合せ先:山口県立萩美術館・浦上記念館 TEL0838-24-2400≫