2023年５月３０日(火)～７月３０日(日)の期間に展示しております作品をご紹介します。

 

兼田昌尚　かねたまさなお

《灰被刳貫花器【はいかぶりくりぬきかき】》　199６年

高さ 42.0㎝　径 41.8×31.8㎝

 

兼田昌尚（1953～）は、萩市前小畑【はぎしまえおばた】に天寵山窯【てんちょうざんがま】七代兼田三左衛門【さんざえもん】の長男として生まれ、1979年筑波大学大学院芸術研究科（彫塑）を修了後は、父に師事。日本伝統工芸展に作品を発表し、1985年日本工芸会正会員、1991年同会を退会。以後個展を中心に広く国内外で作品を発表。1989年以降、土の塊を叩き締め【たたきしめ】、内側を刳り貫き【くりぬき】量塊的【りょうかいてき】な形態を作り出す刳貫【くりぬき】技法と呼ばれる成形技法を本格的に表現に取り入れています。2000年より筑波大学芸術学系助教授（～2003年）、2004年山口県文化功労賞受賞。2005年天寵山窯八代に就任。

本作は、叩きによる野趣溢【やしゅあふ】れる稜線【りょうせん】が立ち上がり、刳貫技法の成形により雄大な自然の山塊【さんかい】を思わせる力強い花器となっており、焼成による灰被【はいかぶり】は人為【じんい】を超えたやきものならではの表現といえます。

〔お問い合わせ先：山口県立萩美術館・浦上記念館　TEL0838-24-2400〕